熱:融点・熱伝導率ML-02
熱伝導率の一覧:金属・合金・建材・断熱材・液体・気体の値と、単位 W/(m·K) の読み方
熱伝導率の一覧を、早見表と7つの表で示します。値には温度の条件と出典を付け、合金や建材は幅や前提も書きます。
あらすじ
この記事では、次の13項目を順に説明します。
ほか7項目は下の目次から。
この記事の内容(13項目)
- 結論:熱伝導率の一覧で、主な物質はどのくらい?
熱伝導率とは? 簡単にいうと?3
金属の熱伝導率の一覧は?2
合金の熱伝導率は、なぜ幅がある?4
- 熱伝導率は温度で変わる?
- 建材の熱伝導率の一覧は?
断熱材の熱伝導率の一覧は?1
液体と気体の熱伝導率の一覧は?2
- セラミックスと樹脂の熱伝導率は?
- 熱伝導率と熱伝達率の違いは?
- 熱伝導率が高いとどうなる? 低いとどうなる?
- 出典
熱伝導率は、ものの中を熱がどれだけ伝わりやすいかを表す値です。
単位は W/(m·K) で、大きいほど熱をよく通します。金属は大きく、空気や断熱材はとても小さい値です。
ポイントはここです。熱伝導率は温度や成分で変わるので、値は「何度で、どの材料か」と組みで読みます。
この記事で分かることは、次のとおりです。
- 主な物質の熱伝導率の早見表と、ものさしの図
- 単位 W/(m·K) の読み方と、古い単位からの換算
- 純金属と合金(ステンレス・アルミ・銅・チタン)の値
- 建材・断熱材・液体・気体・セラミックスの値
- 温度で値がどう変わるか
- 熱伝達率・熱貫流率との違い
値は、産業技術総合研究所や NIST(米国国立標準技術研究所)の資料で確かめました。メーカーの技術資料と、建築の公益法人の資料も使っています。
結論:熱伝導率の一覧で、主な物質はどのくらい?
主な物質の熱伝導率は、銀や銅が数百、ステンレスが十数、水が約0.6、空気が約0.026です。
| 物質 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 温度 |
|---|---|---|
| 銀 | 429 | 室温(25℃付近) |
| 銅 | 386〜402 | 室温(25℃付近) |
| アルミニウム(純) | 226〜237 | 室温(25℃付近) |
| 鉄(純鉄) | 72〜80.4 | 室温(25℃付近) |
| 炭素鋼 | 41 | 常温 |
| チタン(純) | 21.9 | 室温(25℃付近) |
| ステンレス(SUS304) | 16.3 | 記載なし |
| コンクリート | 1.6 | 記載なし |
| ガラス | 1.0 | 記載なし |
| 水 | 0.598 | 20℃ |
| 木材 | 0.12 | 記載なし |
| グラスウール(16K) | 0.045 | 記載なし |
| 空気 | 0.0264 | 27℃ |
出典(6件)
- 産業技術総合研究所「金属の熱伝導率一覧」(分散型熱物性データベース)
- 京セラ「熱とファインセラミックス③ 熱伝導率」(測定方法 JIS R 1611)
- 日本製鉄「ステンレス冷延鋼板」カタログ(S008、2025年8月版)
- 建築環境・省エネルギー機構「材料の熱定数表」(空気調和・衛生工学会『試して学ぶ熱負荷 HASPEE』2012年より)
- NIST Chemistry WebBook「Thermophysical Properties of Fluid Systems」(1気圧の等圧データ)
- Lemmon, Jacobsen (2004) 窒素・酸素・アルゴン・空気の粘度と熱伝導率の式(NIST、International Journal of Thermophysics 25巻)
表は高い順です。値は、このあとの7つの表から同じ行を持ってきています。
いちばん高い銀と、いちばん低い空気では、約1万6千倍の差があります。差が大きいので、図は横軸を対数にしています。
金属どうしでも、銅とステンレスでは20倍以上の差があります。「金属は熱を通す」とひとまとめにしないのが大切です。
早見表の「温度」の列も見てください。同じものでも、温度が違えば値が少し変わります。
熱伝導率とは? 簡単にいうと?
熱伝導率とは、厚さ1mの板の両面に1℃の差があるとき、1m²を1秒に流れる熱の量です。
記号はλ(ラムダ)が多く、英語では thermal conductivity です。資料によっては k と書きます。
熱の伝わり方には、伝導・対流・放射の3つがあります。熱伝導率は、このうち「伝導」の強さだけを表す値です。
金属では、自由に動く電子が熱を運びます。そのため、電気をよく通す金属ほど、熱もよく通す傾向があります。
熱伝導率の単位 W/(m·K) の読み方は?
W/(m·K) は「ワット毎メートル毎ケルビン」と読みます。
W(ワット)は、1秒あたりに流れる熱の量です。m は板の厚さと面積をまとめた長さ、K は温度の差です。
K(ケルビン)と℃は、目盛り1つの大きさが同じです。温度の差を表すときは、1K と1℃は同じ大きさです。
そのため W/(m·K) と W/(m·℃) は、同じ数になります。
熱伝導率の単位はどう換算する?
古い本の kcal/(m·h·℃) は、1.163倍すると W/(m·K) になります。
| 単位 | W/(m·K) にすると | どこで見るか |
|---|---|---|
| W/(m·K) | 1 | いまの資料・カタログ(SI 単位) |
| W/(m·℃) | 1 | 温度差を ℃ で書いた表 |
| mW/(m·K) | 0.001 | 気体の表 |
| kcal/(m·h·℃) | 1.163 | 古い建築・機械の本 |
| cal/(cm·s·℃) | 418.68 | 古い理科・化学の本 |
出典: 単位の定義(1 kcal=4,186.8 J、1 時間=3,600 秒)
kcal(キロカロリー)は熱の量、h は1時間です。1時間は3,600秒なので、この倍率になります。
気体の表では、mW/(m·K) のように千分の1の単位を使うことがあります。表の単位を先に確かめます。
熱伝導率の計算式は?
板を流れる熱の量は「熱伝導率×面積×温度差÷厚さ」で求めます。
たとえば、厚さ1cmのガラスの板を考えます。面積1m²で、両面の温度差が10℃とします。
建材の表のガラスの値を使うと、計算では約1,000Wになります。
ただし、これはガラスの中だけの値です。実際の窓では、表面と空気の間でも熱が伝わりにくくなります。そのため、実際に流れる熱はずっと少なくなります。
熱伝導率だけで、窓や壁の断熱の良さは決まりません。表面の熱の伝わり方は、あとの節で説明します。
金属の熱伝導率の一覧は?
純金属の熱伝導率は、銀が最も高く、銅・金・アルミニウムが続きます。
| 金属 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 温度 | メモ |
|---|---|---|---|
| 銀 | 429 | 室温(25℃付近) | 金属でいちばん高い |
| 銅 | 386〜402 | 室温(25℃付近) | 純度で値が変わる |
| 金 | 318 | 室温(25℃付近) | |
| アルミニウム | 226〜237 | 室温(25℃付近) | 資料と材料で値が違う |
| タングステン | 169〜176 | 室温(25℃付近) | |
| モリブデン | 138 | 室温(25℃付近) | |
| 亜鉛 | 116 | 室温(25℃付近) | |
| ニッケル | 90.9 | 室温(25℃付近) | |
| 鉄(純鉄) | 72〜80.4 | 室温(25℃付近) | 鋼(はがね)はもっと低い |
| 白金(プラチナ) | 71.6 | 室温(25℃付近) | |
| スズ | 66.8 | 室温(25℃付近) | 多結晶の値 |
| 鉛 | 35.4 | 20℃ | |
| チタン(純チタン) | 21.9 | 室温(25℃付近) | 多結晶の値 |
出典: 産業技術総合研究所「金属の熱伝導率一覧」(分散型熱物性データベース) / NIST「Material Properties: Lead」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
値は産業技術総合研究所のデータベースの、室温(25℃付近)の値です。
報告が複数ある金属は、幅で載せています。銅やアルミニウムは、純度や測った材料で値が変わります。
熱伝導率が一番高い金属は?
熱伝導率が一番高い金属は銀で、次が銅です。
銀は高価なので、熱を逃がす部品にはふつう銅やアルミニウムを使います。
金属の熱伝導率の高い順は?
金属の熱伝導率の高い順は、銀・銅・金・アルミニウムです。
そのあとにタングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケル、鉄が続きます。表の金属では、チタンがいちばん低い値です。
純アルミニウムは、純鉄のおよそ3倍の熱伝導率です。アルミの鍋は、熱が全体にすばやく広がります。
同じ金属の重さは、金属の比重一覧で比べられます。溶ける温度は、金属の融点一覧にまとめています。
合金の熱伝導率は、なぜ幅がある?
合金の熱伝導率は、加えた成分の種類と量、熱処理によって変わるため、1つに決まりません。
| 合金 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 温度 | どんな合金か |
|---|---|---|---|
| 無酸素銅(C1020 相当) | 397 | 20℃ | 純度99.96%以上の銅 |
| アルミ 1100 | 212 | 20℃ | 純アルミ系(99%以上) |
| アルミ 6063-T5 | 201 | 20℃ | サッシなどの押出材 |
| アルミ 3003 | 177 | 20℃ | マンガンを加えた板材 |
| アルミ 6061-T6 | 154 | 20℃ | 構造用の強い合金 |
| アルミ 5083 | 118 | 20℃ | マグネシウムが多い船舶用 |
| 炭素鋼 | 41 | 常温 | 鉄に炭素を加えた鋼 |
| ステンレス SUS430 | 26.0 | 記載なし | フェライト系(磁石につく) |
| ステンレス SUS410 | 24.2 | 記載なし | マルテンサイト系(刃物など) |
| ステンレス SUS304 | 16.3 | 記載なし | オーステナイト系(18-8) |
| ステンレス SUS316 | 16.3 | 記載なし | モリブデン入りのオーステナイト系 |
| ステンレス 304(NIST) | 15.1 | 20℃ | 同じ鋼種の別の資料の値 |
| ステンレス SUS310S | 13.8 | 記載なし | 耐熱用のオーステナイト系 |
| チタン合金 Ti-6Al-4V | 7.4 | 20℃ | 64チタン |
出典(10件)
- NIST「Material Properties: OFHC Copper (UNS C10100/C10200)」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- NIST「Material Properties: 1100 Aluminum」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- NIST「Material Properties: 6063-T5 Aluminum」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- NIST「Material Properties: 3003-F Aluminum」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- NIST「Material Properties: 6061-T6 Aluminum」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- NIST「Material Properties: 5083 Aluminum」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- 京セラ「熱とファインセラミックス③ 熱伝導率」(測定方法 JIS R 1611)
- 日本製鉄「ステンレス冷延鋼板」カタログ(S008、2025年8月版)
- NIST「Material Properties: 304 Stainless (UNS S30400)」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
- NIST「Material Properties: Ti-6Al-4V」(米国国立標準技術研究所、低温材料の物性。曲線の式から20℃で計算)
金属にほかの元素を混ぜると、熱を運ぶ電子の動きがじゃまされます。そのため合金は、もとの純金属より低くなります。
ステンレスとアルミ合金の値は、出典が違います。ステンレスは日本製鉄のカタログ、アルミ合金は NIST の資料です。
同じ304でも、日本製鉄の値と NIST の値は少し違います。測った温度や材料が違うためです。
合金の値は、使う材料の「鋼種・合金番号」と出典をそろえて比べてください。名前だけで比べると、ずれることがあります。
ステンレスの熱伝導率はどのくらい?
ステンレスの熱伝導率は、SUS304で約16、SUS430で約26です。
ステンレスは鉄より熱伝導率が低く、純鉄のおよそ5分の1です。炭素鋼と比べても半分以下です。
ステンレスはクロムやニッケルを多く含むため、熱を通しにくくなります。ステンレスの鍋は、火の当たる所に熱がたまりやすくなります。
SUS304などのオーステナイト系は、SUS430などのフェライト系より低い値です。
アルミの熱伝導率はどのくらい?
アルミの熱伝導率は、純アルミニウムで約230、合金では120〜210ほどです。
純アルミ系の1100は高く、マグネシウムの多い5083は約半分です。サッシの6063は、その間です。
アルミの製品を比べるときは、合金番号(1100・5052・6063など)を確かめます。5052の値は、一次資料で確かめられず表に入れていません。
銅の熱伝導率はどのくらい?
銅の熱伝導率は約390〜400で、銀の次に高い値です。
無酸素銅(C1020相当)も、ほぼ同じ値です。黄銅(真鍮)は亜鉛を多く含み、ずっと低くなります。
黄銅の値は、一次資料で確かめられなかったので表に入れていません。
チタンの熱伝導率はどのくらい?
チタンの熱伝導率は、純チタンで約22、チタン合金 Ti-6Al-4V で約7です。
チタンは金属の中では熱を通しにくく、合金はステンレスよりさらに低い値です。
チタンのマグカップの口が熱くなりにくいのは、この性質のためです。硬さの比べ方はモース硬度の一覧にまとめています。
熱伝導率は温度で変わる?
熱伝導率は温度で変わり、水は0℃から80℃までに約2割高くなります。
| 物質 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 温度 |
|---|---|---|
| 水 | 0.556 | 0℃ |
| 水 | 0.598 | 20℃ |
| 水 | 0.629 | 40℃ |
| 水 | 0.651 | 60℃ |
| 水 | 0.667 | 80℃ |
出典: NIST Chemistry WebBook「Thermophysical Properties of Fluid Systems」(1気圧の等圧データ)
変わり方は、ものによって違います。金属も、温度が大きく変わると値が変わります。
気体は、温度が上がると熱伝導率も上がります。高温の炉や低温の冷凍機では、その温度の値を使います。
一覧の値を使うときは、温度の列が使う場面に近いかを確かめます。
建材の熱伝導率の一覧は?
建材の熱伝導率は、コンクリートが1.6、ガラスが1.0、木材が0.12ほどです。
| 建材 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 種類 |
|---|---|---|
| 鋼 | 55 | 金属 |
| アルミニウム | 210 | 金属 |
| 銅 | 370 | 金属 |
| ステンレス鋼 | 15 | 金属 |
| 岩石 | 3.1 | 石・土 |
| 土壌 | 1.0 | 石・土 |
| コンクリート | 1.6 | コンクリート系 |
| セメント・モルタル | 1.5 | コンクリート系 |
| ALC(軽量気泡コンクリート) | 0.19 | コンクリート系 |
| タイル | 1.3 | 壁・下地 |
| ガラス | 1.0 | 壁・下地 |
| かわら | 1.0 | 壁・下地 |
| 土壁 | 0.69 | 壁・下地 |
| れんが | 0.64 | 壁・下地 |
| せっこうボード | 0.22 | 壁・下地 |
| 合板 | 0.16 | 木質 |
| 天然木材 | 0.12 | 木質 |
| MDF(中密度繊維板) | 0.12 | 木質 |
| FRP(繊維強化プラスチック) | 0.26 | 床 |
| ビニル系床材 | 0.19 | 床 |
| 畳 | 0.15 | 床 |
| カーペット類 | 0.08 | 床 |
出典: 建築環境・省エネルギー機構「材料の熱定数表」(空気調和・衛生工学会『試して学ぶ熱負荷 HASPEE』2012年より)
この表は、建物の冷暖房の計算に使う代表の値です。同じ名前の建材でも、密度や水分で値に幅があります。
表の金属の値は、純金属の測定値より低めです。建物の計算用に決めた値なので、純金属の表とは混ぜずに使います。
木材がコンクリートより熱を通しにくいのは、細胞の中に空気を含むためです。
断熱材の熱伝導率の一覧は?
断熱材の熱伝導率は0.02〜0.05ほどで、コンクリートの数十分の1です。
| 断熱材 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 種類 |
|---|---|---|
| グラスウール 10K 相当 | 0.050 | 繊維系 |
| グラスウール 16K 相当 | 0.045 | 繊維系 |
| グラスウール 24K 相当 | 0.038 | 繊維系 |
| グラスウール 32K 相当 | 0.036 | 繊維系 |
| 高性能グラスウール 16K 相当 | 0.038 | 繊維系 |
| 高性能グラスウール 24K 相当 | 0.036 | 繊維系 |
| ロックウール(マット) | 0.038 | 繊維系 |
| 吹込み用セルロースファイバー 25K | 0.040 | 繊維系 |
| ビーズ法ポリスチレン 4号 | 0.043 | 発泡プラスチック系 |
| ビーズ法ポリスチレン 特号 | 0.034 | 発泡プラスチック系 |
| 押出法ポリスチレン 1種 | 0.040 | 発泡プラスチック系 |
| 押出法ポリスチレン 2種 | 0.034 | 発泡プラスチック系 |
| 押出法ポリスチレン 3種 | 0.028 | 発泡プラスチック系 |
| 硬質ウレタンフォーム 2種1号 | 0.023 | 発泡プラスチック系 |
| フェノールフォーム 1種1号 | 0.022 | 発泡プラスチック系 |
出典: 建築環境・省エネルギー機構「材料の熱定数表」(空気調和・衛生工学会『試して学ぶ熱負荷 HASPEE』2012年より)
グラスウールの「16K」は、1m³あたり約16kgの密度を表します。同じグラスウールなら、密度が高いほど値は低くなります。
発泡プラスチック系では、フェノールフォームと硬質ウレタンフォームが低い値です。
区分の名前は、表を作った時点の JIS のものです。製品の値は、袋やカタログに書かれた熱伝導率で確かめます。
断熱材の熱伝導率は低いほうがいい?
断熱材の熱伝導率は低いほうが、同じ厚さで熱を通しにくくなります。
断熱の強さは「熱抵抗」でも表します。熱抵抗は、厚さ(m)を熱伝導率で割った値です。
たとえば、16Kのグラスウール100mmは、熱抵抗が約2.2です。同じ熱抵抗をコンクリートで出すには、約3.6mの厚さが要ります。
断熱材は「熱伝導率」と「厚さ」の組で比べてください。値が少し高くても、厚くすれば同じ断熱になります。
液体と気体の熱伝導率の一覧は?
水の熱伝導率は約0.6、空気は約0.026で、水は空気の約23倍です。
| 物質 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 温度 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 水 | 0.598 | 20℃ | 液体 |
| 水蒸気 | 0.0246 | 100℃ | 気体 |
| 水素 | 0.183 | 20℃ | 気体 |
| ヘリウム | 0.154 | 20℃ | 気体 |
| 空気 | 0.0264 | 27℃ | 気体 |
| 酸素 | 0.0259 | 20℃ | 気体 |
| 窒素 | 0.0255 | 20℃ | 気体 |
| アルゴン | 0.0175 | 20℃ | 気体 |
| 二酸化炭素 | 0.0163 | 20℃ | 気体 |
出典: NIST Chemistry WebBook「Thermophysical Properties of Fluid Systems」(1気圧の等圧データ) / Lemmon, Jacobsen (2004) 窒素・酸素・アルゴン・空気の粘度と熱伝導率の式(NIST、International Journal of Thermophysics 25巻)
気体の多くは0.01〜0.03ほどです。水素とヘリウムは、軽い分子が速く動くため、ほかの気体より高くなります。
空気の熱伝導率はどのくらい?
空気の熱伝導率は、27℃・1気圧で約0.026です。
空気はほとんどの固体より熱を通しにくい物質です。断熱材の多くは、動かない空気を細かい泡や繊維の間に閉じこめて働きます。
ただし、空気が動くと対流で熱が運ばれます。すき間の大きい空気の層では、熱伝導率の値どおりにはなりません。
水の熱伝導率はどのくらい?
水の熱伝導率は、20℃で約0.6です。
水は空気の20倍以上、熱を通します。冷たい水が、同じ温度の空気より冷たく感じる理由の1つです。
セラミックスと樹脂の熱伝導率は?
ファインセラミックスは3〜150と幅が広く、樹脂は0.2〜0.4ほどと低い値です。
| 材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 温度 | 種類 |
|---|---|---|---|
| 窒化アルミニウム | 150 | 常温 | ファインセラミックス |
| 炭化ケイ素 | 60 | 常温 | ファインセラミックス |
| アルミナ(酸化アルミニウム) | 32 | 常温 | ファインセラミックス |
| 窒化ケイ素 | 20 | 常温 | ファインセラミックス |
| ジルコニア | 3 | 常温 | ファインセラミックス |
| ナイロン(ポリアミド) | 0.34 | 20℃ | 樹脂 |
| PTFE(テフロン) | 0.27 | 20℃ | 樹脂 |
| ポリイミド(カプトン) | 0.19 | 20℃ | 樹脂 |
出典(4件)
窒化アルミニウムや炭化ケイ素は、電気を通さないのに熱をよく通します。そのため、半導体の熱を逃がす部品に使われます。
ジルコニアは、セラミックスの中では熱を通しにくい材料です。炉の壁など、熱をさえぎる場所に使われます。
樹脂は、ステンレスと比べても数十分の1の値です。鍋の取っ手に樹脂を使うのは、熱が手に伝わりにくいためです。
熱伝導率と熱伝達率の違いは?
熱伝導率はものの中の熱の伝わりやすさ、熱伝達率は表面と空気や水の間の熱の伝わりやすさです。
| 熱伝導率 | 熱伝達率 | 熱貫流率 | |
|---|---|---|---|
| 何を表すか | ものの中の伝わりやすさ | 表面と流体の間 | 壁や窓の全体 |
| 単位 | W/(m·K) | W/(m²·K) | W/(m²·K) |
| 決まるもの | 材料と温度 | 風の強さ・表面の向き | 材料・厚さ・表面 |
| よく使う場面 | 材料の比較 | 放熱・冷却の設計 | 住宅の断熱性能 |
熱伝達率は、材料の性質ではありません。同じ板でも、風が強いと大きくなります。
熱貫流率は、壁や窓の全体で熱がどれだけ通るかを表す値です。住宅の断熱性能は、ふつうこの値で比べます。
熱伝導率が高いとどうなる? 低いとどうなる?
熱伝導率が高いと熱がすばやく広がり、低いと熱がその場にとどまります。
高いものは、熱を広げたい・逃がしたい場面に向きます。低いものは、熱を閉じこめたい場面に向きます。
| 熱伝導率 | 向いている使い方 | 例 |
|---|---|---|
| 高い | 熱を広げる・逃がす | 銅の鍋、アルミの放熱板、窒化アルミの基板 |
| 中くらい | 強さと熱のつり合い | 鋼の構造材、ステンレスの流し |
| 低い | 熱を閉じこめる・さえぎる | 断熱材、樹脂の取っ手、木の床 |
フライパンの温まり方は、熱伝導率だけでなく厚さや重さでも変わります。選ぶときは、材料と厚さを組で見ます。
熱伝導率でよくある質問は?
熱伝導率が一番高い物質は?
京セラの資料では、常温で熱伝導率が最も高い物質はダイヤモンドです。
ダイヤモンドの数値は、一次資料で確かめられなかったため、表には入れていません。金属では銀が最も高い値です。
ステンレスは鉄より熱伝導率が高い?
いいえ。ステンレスは鉄より熱伝導率が低い金属です。
SUS304の熱伝導率は、純鉄のおよそ5分の1です。
アルミの熱伝導率は鉄の何倍?
純アルミニウムの熱伝導率は、純鉄のおよそ3倍です。
アルミ合金と炭素鋼で比べても、約3〜5倍の差があります。
熱伝導率の記号は?
熱伝導率の記号は、λ(ラムダ)がよく使われます。
英語の資料では k と書くこともあります。単位はどちらも W/(m·K) です。
熱伝導率と比熱の違いは?
熱伝導率は熱の伝わりやすさ、比熱は温まりにくさです。
比熱は、1gを1℃上げるのに要る熱の量です。熱伝導率が高くても、比熱が大きいと温まるまでに時間がかかります。
ガラスとステンレスの熱伝導率の違いは?
建材の表では、ガラスは1.0、ステンレス鋼は15です。
ステンレスは、ガラスの約15倍熱を通します。
出典
- 金属の熱伝導率一覧(産業技術総合研究所 分散型熱物性データベース)
- ステンレス冷延鋼板 カタログ S008(日本製鉄、2025年8月版)
- Material Properties(NIST 低温材料の物性:304ステンレス・アルミ1100/3003/5083/6061/6063・無酸素銅・Ti-6Al-4V・鉛・ナイロン・PTFE・ポリイミド)
- Thermophysical Properties of Fluid Systems(NIST Chemistry WebBook)
- E. W. Lemmon, R. T. Jacobsen (2004) Viscosity and Thermal Conductivity Equations for Nitrogen, Oxygen, Argon, and Air. International Journal of Thermophysics 25(空気の値)
- 材料の熱定数表(建築環境・省エネルギー機構、空気調和・衛生工学会『試して学ぶ熱負荷 HASPEE』2012年より)
- 熱とファインセラミックス③ 熱伝導率(京セラ)